
おひつはごはんを美味しく保つために重宝しますが、使い続けると時折、カビや黒ずみが目につき、衛生面で気になることがあります。
おひつ表面の黒ずみは、木材内のタンニン成分がごはんのでんぷん成分(アミロースやアミロペクチン)と化学反応を起こすことによって生じますが、これらは基本的に無害です。
一方でカビは、食品安全上のリスクをはらんでおり、発生を未然に防ぐために適切なお手入れが欠かせません。
カビが生じる主要因は適切な乾燥が行われていないことです。洗浄後は、内部までしっかりと乾かすことが大切です。
黒ずみには、レモンの果汁や酢を使って拭くことで除去できます。
この記事では、おひつの使用における共通の悩みである黒変とカビの発生原因、それらを取り除く方法、そして適切な管理方法についてお伝えします。
おひつに見られる黒ずみとカビの根本的な違い
おひつが黒くなったとしても、単なる黒ずみとカビではまったくの別物です。黒変(黒ずみ)とカビが発生する背景には、それぞれ異なる理由があります。
おひつが黒ずんでしまう原因とは
長期間にわたっておひつを使用していると、徐々に内面が黒ずむことがあります。
こうした黒変は、多くの場合「水垢」が原因と考えられます。
米のデンプン質や木のタンニンが水分と結びつくことで、時間の経過とともに黒ずみが生じることがありますが、これらは人体に対して害はないため、継続して使う上で心配はいりません。
おひつにカビが生える原因について
おひつを洗った後、内部が完全に乾かなかったり、水に長時間漬けておくとカビが生えやすくなります。
表面は乾いているように見えても、中は湿ったままというケースは少なくありません。
乾燥したご飯粒は取りにくいですが、水に漬けておくことで洗いやすくなりますね。しかし水に濡らしている時間が長いと、おひつの木材が水分を吸収し、結果としてカビの原因となってしまいます。
また、ご飯粒を完全に取り除けていないと、それがカビの栄養源となることもあります。
おひつを使用したあとは早めに洗い、清潔で乾いた状態にしておくことが大切です。
おひつの黒ずみとカビ、きれいにするコツ
おひつについた黒ずみとカビはそれぞれ別の原因からきているので、当然、対処法も異なります。
黒ずみを消す方法とカビを取り除く流れを別々にご説明します。
おひつの黒ずみを落とすコツ
黒ずんだおひつは、水分を含ませた後、新鮮なレモン果汁を用いてタワシでこすり洗うと効果的でしょう。
自然な漂白作用を持つレモンは黒ずみを薄くし、おひつを清らかでピカピカにしてくれます。
ただし、使用するのは「レモンの香りがするもの」ではなく、実際に絞りたての「生レモン」の汁であることが大切です。
黒ずみ自体は身体に悪いものではありませんし、お手入れにも食品を使えば安全で気持ちが良いですね。
おひつのカビ除去のステップ
まだ新しいおひつのカビは、乾燥した布でさっと拭き取れば綺麗になることも。
もしカビが奥深くに進入していたら、紙やすりを活用し、木のキメに沿ってゴシゴシと削ぎ落とすことが肝心です。
表面を少し削った後で台所用の「塩素系漂白剤」を使うとカビを除去できるはずです。
しかし、木製品のおひつは漂白剤の使用で退色する可能性があるため注意が必要。
他の方法ではダメだった時のみ、漂白剤でのカビ取りを試すという選択が賢明と言えるでしょう。
できることなら、普段からていねいなお手入れを心がけることで、木製のおひつにカビが生えるのを防ぎたいものですね。
毎日のおひつケアのポイント
ごはんを美味しく食べるためには、普段からおひつのケアをきちんとすることが大切です。
おひつの日常的なお手入れとしては以下のステップが挙げられます。
・ふきんや清潔なタオルを使い、水気をしっかりと取ること
・よく風が通る場所でしっかり乾燥させること
おひつへの中性洗剤の使い方には注意が必要で、濃い液体はシミになる恐れがあるため、きちんと水で薄めてから使いましょう。
ドライヤーや扇風機を用いると早くドライできると思われるかもしれません。しかし、見た目には乾いているように見えますが、内部に湿気が残っていることが多いです。
半乾きの状態でご飯を入れると、菌が繁殖しやすくなるため、使う前にしっかりと乾いているかどうか確認するようにしてください。
黒ずみがある場合には、上記で紹介した、レモン汁を使ったケアがおすすめです。
重曹や塩も清掃に効果的ですが、木の表面を傷めないように、力を入れすぎずに丁寧に扱ってください。
もしもべたつきが気になるときは、アルコールをスプレーしてから拭き取る方法も清潔にするのに役立ちます。
おひつからの嫌な臭いがする場合は、お酢を使ってみましょう。水で湿らせた後、大さじ2杯のお酢を全体に振りかけて軽く洗うことで、消臭効果が期待できます。
おひつの黒ずみやカビについて まとめ
おひつの黒ずみやカビの原因とその対策、日頃からおひつを清潔に保つケアのポイントをお伝えしました。
・黒ずみは水垢やでんぷん質、タンニンの付着によるもので、カビの原因は半乾きの状態での菌の繁殖です
・黒ずみの除去にはレモンの漂白効果が役立ちます
・カビが発生した場合は初期段階なら乾いた布での拭き取りが可能ですが、深刻な場合は紙やすりを使用します
・漂白剤はカビの除去に効果的ですが、木製のおひつには変色や変形のリスクが伴います
・おひつを長持ちさせるには、浸水を避け早めに洗い上げるとともに、完全に乾燥させることが重要です
木製品であるおひつには、とくに「湿気」「水分」が大敵です。カビの原因となりますので、しっかり乾燥させることを心がけましょう。
いつも清潔なおひつで、おいしいごはんをいただきたいものですね。