持ち帰りのランチが、発泡スチロールのパックに包まれているのを見かけますね。
家に帰って再加熱して食べるのが一般的だと思いますが、発泡スチロールのパックを電子レンジで使うのは推奨されない、という話を耳にしたことはありますか？
ファストフード店や定食屋などでの持ち帰りパックは、多くが発泡スチロールで作られています。
セラミックやガラスの容器に移してから再加熱すると安心です。
この記事では、発泡スチロールのパックを電子レンジで使用しない方が良い背景や、持ち帰り食品の正しい加熱方法について詳しく説明します。
発泡スチロール、電子レンジ利用には注意
発泡スチロール製のパックやケースは、電子レンジでの加熱に適していないのです。
外食から持ち帰った際、冷めてしまったために、発泡スチロールのままで電子レンジにかけたことがある、という方も少なくないでしょう。
しかし、なぜ電子レンジで発泡スチロールを加熱しない方が良いのでしょうか？
高温には耐えられない
発泡スチロールは、ポリエチレンで作られており、ポリエチレンの耐熱温度は約80℃~90℃とそれほど高くはありません。
電子レンジは、食べ物の水分の分子を振動させ、その摩擦で食品を加熱する仕組みです。
その結果、発泡スチロール製のパックやケースは溶けるリスクが増えます。
食材と一緒に電子レンジで加熱すると、食品が80℃~90℃に達した際に、接触部分から発泡スチロールが溶け出す恐れがあります。
特に、油分が多い料理は注意が必要です。
加熱による変形のリスク
発泡スチロールの種類によって、電子レンジでの加熱により変形したり、穴が開いたりすることが考えられます。
例えば、残ったから揚げをパックのまま冷凍し、後で電子レンジで解凍した際、パックが変形することがあります。
電子レンジでの使用は、意外と予想以上に高温になることがありますので、気を付ける必要があるんですね。
最も安全な方法は、別の容器に移してから電子レンジを使用することです。
電子レンジでの発泡スチロール容器の使用は安全なのか？
食べ物を発泡スチロールの容器に入れて温めるとき、前述した通り、食品の温度が容器の限界温度を上回ると溶ける恐れがあると指摘しました。
その際に溶けた発泡スチロールが食品にどんな作用を持つのかを見ていきましょう。
電子レンジでの温めによって容器が歪んだり、穴が生じたりする場合、それは容器が収束していることから、具体的に何らかの液や成分が流れ出しているわけではありません。
したがって、歪んだ容器の中の食べ物を摂取しても、体に害はないでしょう。
食品向けの発泡スチロール容器は食品衛生法に則って作られた素材であり、体への有害な成分は入っていないのです。また、発泡スチロールを口にしたとしても体に取り込まれず、体外に排出されます。
体に悪影響を及ぼすとは考えられませんが、容器が歪んでいると食べるのが気になるかもしれませんね。
もしそのような状況で不安を感じるのであれば、発泡スチロールの容器に入れた食材を電子レンジで暖める際、別の容器に移してからあたためることをおすすめします。
持ち帰りの牛丼をあたためるのに使える容器って？
牛丼の大手チェーン店での持ち帰りの際、家で食べる前には発泡スチロール製の容器は別のものに移してからあたためることを推奨します。
電子レンジでの安全な加熱が可能な容器としては、
・陶磁器
・耐熱ガラス製品
・シリコーン製容器
・140℃以上の熱に耐えるプラスチック製品
などがあります。
陶器の丼などが見た目もいいですね。このような容器に移してから、加熱を行うことが安全です。
食器の洗い物が増えるのは大変かもしれませんが、発泡スチロール製の容器をそのまま使って万一容器が溶けるようなことがあれば、食べるときに不快な状況になったり、後の掃除が難しくなります。
再加熱を行う場合は、適切な容器を使用してください。
電子レンジで発泡スチロールが溶けた際の掃除手順
もし溶けた発泡スチロールでレンジ内が汚れてしまったら、次の方法できれいにすることができます。
熱湯を活用する
70℃～80℃の温度の熱湯で柔らかくし、取り除く手法です。
火傷のリスクがあるため、十分に注意して行ってください。
ガーゼを木の箸に巻き、熱湯に浸してから取り除くのが良いでしょう。
重曹の温水での拭き取り
重曹は様々な掃除に役立ちます。電子レンジ内での溶けた発泡スチロール除去にも有効です。
水1カップに重曹大さじ1を入れ、沸騰させます。
熱すぎる場合は冷やしてから、タオルなどを使い、汚れを拭き取ります。
特殊な溶剤利用
ビニール溶解型のシンナーやトルエンを試す方法もあります。
シンナーや溶剤での汚れ除去は効果的ですが、特有の臭いが残る場合があるので、最終手段として利用するのが良いでしょう。
溶剤での掃除後は、洗剤でしっかりと洗浄する必要があります。
この記事のまとめ
発泡スチロール製の容器やトレイ内の食品を電子レンジでの加熱には向いていないこと、持ち帰った食品の安全な温め方や、発泡スチロールが溶けた際のクリーニングの手順を詳しく説明しました。
発泡スチロールのトレイや容器は、最大耐熱温度が80℃~90℃と制限があり、熱い食物が接触すると溶ける可能性があるため、直接の電子レンジ加熱は避けた方が良いです。
持ち帰ったお惣菜やお弁当は、直接の容器での加熱を避け、耐熱性のある容器に移してから温めることをおすすめします。
電子レンジでの食品加熱を安全に、食事を気持ちよく楽しむために、このステップを忘れずに実践してみてくださいね。
