
白い粉として加湿器の周囲に見られるものは、実は水道水中に存在するカルキの結晶に他なりません。
ふと気が付けば、室内に散らばる白い粉を目の当たりにすることはありませんか。加湿器内部を覗いてみると、その白い粉や塊がこびりついていたりします。
これらは人の健康に直接的な影響は及ぼさないものの、テレビやパソコンなどの精密機器に故障を引き起こす可能性があるため、注意を払う必要があります。
白い粉や塊の正体であるカルキの結晶は、クエン酸を使用することで除去が可能です。
この白い粉がどのようにして生じるのか、そしてその付着を未然に防ぐためにはどのような手順を踏むべきかについて、詳しく解説していきます。
加湿器から出る白い粉の成分とは? 人体への影響は?
加湿器によって室内に散見される白い粉は、カルキや水道水に溶け込んでいるミネラルなどの結晶が主要成分です。
カルキとは、一般的に塩素の一種であり、科学的には次亜塩素酸カルシウムと表されます。
このカルキは、水道水には法律に基づき標準的に添加されており、もし水道水から欠けている場合は、水道局に問い合わせるべきです。
カルキが水に添加されるのは消毒のためです。
河川や湖から取り入れた水は浄水場で処理されるものの、有害な微生物や菌を含んでいる場合があり、それらを無害化するためにカルキが利用されています。
水道水中のカルキ(塩素)の濃度は非常に低いですし、人体に悪影響を及ぼすとは考えられていません。
しかし水道水のミネラル含有量には、地域によって差があります。
加湿器が部屋を潤す霧を作り出すとき、空中に舞う微細なカルキやミネラルの粒子たちが、家具や家電の上にそっと降り積もります。
時間が経つと、この粒子たちは水分を失い、小さな結晶のかけらとして私たちが目にする白い粉になるんですね。
白い粉自体には人体への悪い影響はなく、とくに心配する必要はありません。
加湿器からの白い粉、家電への影響は?
加湿器が放出する白い粉は、家電の中でもテレビやパソコンなどの精密機器にとって故障のリスクを増加させることが指摘されています。
特に超音波式やスチーム式の加湿器を精密機器のそばに設置することは避けたほうがいいので気を付けましょう。
加湿器に付属している説明書に書かれている使用法や注意点を、今一度確認してしっかりと守るようにしてくださいね。
加湿器の白い残留物のクリーニング手順
加湿器にこびりつく白い粉は、健康への害はないとされているものの、これを放置するとカビの温床となったり、機器の故障につながるリスクがあります。
この白い残留物は、周期的に清掃することが肝心です。一見手間がかかると思われがちですが、清掃方法は驚くほどシンプルです。
洗浄液を作って浸すだけ、簡単ですよね?
それを怠ると、有害な菌が繁殖したり、カビが生えやすくなったりする恐れがあります。
そんな不衛生な蒸気を吸入するのは、健康にとってもよくありません。
クリーニングの手順としては、加湿器のフィルター、タンク、取り外しできるパーツをそれぞれ洗浄液につけ置きします。
特に気化式加湿器をお使いの場合、フィルターの清掃は極めて重要です。
長く放置してしまうとフィルター内部がカルキで固まり、耐用年数が短くなってしまいます。
フィルターは水で手洗いした後、洗浄液に漬けますが、洗浄液は重曹やクエン酸など身近なもので作ることができます。
次に、加湿器のタンクも洗浄液を入れて置くだけでクリーニングできます。
重曹を使用する場合
重曹を水に溶かし、その溶液を加湿器のタンクに入れてください。重曹の適切な濃度は1%程度です。
そして、その状態で1時間ほど放置します。
後は、その水を捨て、清潔な水で洗い流せば完了です。
クエン酸を用いる場合
重曹と同じように、クエン酸を水に溶かして加湿器のタンクに入れます。
1時間程度そのままにしておいてから、水ですすぎ洗いするだけで、きれいになります。
手順はどちらも似たようなものです。
重曹は一般にベーキングソーダとして知られており、スーパーマーケットなどで手に入れることができます。
クエン酸はレモンをはじめとした柑橘類に含まれている成分ですので、小さなお子さんがいる家庭でも安心して使えるでしょう。
最後に、分解可能なパーツに関しては、取り外してバケツの中で浸け置き清掃を行いましょう。
漬け置きだけでは心配な頑固な汚れがある場合には、重曹を少しブラシにつけて擦ることで、汚れを落とすことができます。ただし、機器を傷つけないように優しく擦ることが大切です。
加湿器から出る白い粉の対処法とは?
カルキが白い粉の主な原因となっているため、それを除去すれば対処できるでしょう。
ただ、カルキはある程度の殺菌作用があるため、それを完全に取り除くと雑菌が増えやすくなり、カビの発生のリスクも高まるため、注意が必要となります。
①沸騰させる方法
水道水を鍋ややかんで煮立たせてください。
ただし、沸騰したからといってすぐに火を止めてはいけません。カルキを十分に抜くためには、約10分間煮沸を続ける必要があります。
沸騰が終わったら、水を常温に戻してから加湿器に使用してください。
②浄水器を使用
市販されている家庭用浄水器を利用しても、カルキを除去することが可能です。
しかし、ポット型の浄水器はフィルターの性能がそれほど高くないため、推奨されません。
③水を汲み置きしておく
単純に容器に水を入れて放置するだけでも、カルキは自然と抜けていきます。
加湿器の種別による白い粉の発生傾向
加湿器にはいろいろな種類がありますが、それぞれの加湿方式によって、白い粉の発生度合いに差が出てきます。
白い粉の発生が多い加湿器
特に白い粉が多く出るのは超音波式の加湿器です。細かい霧を発生させることで、カルキを含んだ水分が室内に散布されます。
超音波式は加熱をしないため、子供やペットがいるご家庭には安全な面もありますが、雑菌の繁殖には注意が必要です。
デザインがモダンで手頃な価格設定のものが多く、人気を集めていますが、白い粉の問題が気になる方は他のタイプを選んだ方が良いかもしれません。
白い粉の発生が少ない加湿器
白い粉がほとんど出ない加湿器には、スチーム式や気化式、またはそれらを組み合わせたハイブリッド式があります。
スチーム式は水を沸騰させて蒸気に変えるため、衛生面でメリットがあります。
しかし、カルキが加湿器内部に蓄積しやすく、機器自体の清掃が大変というのがデメリットです。
気化式やハイブリッド式は、水をフィルターに吸収させ、ファンで空気中に放出することで湿度を上げるため、カルキの放出が抑制され、また雑菌の拡散も少ないです。
ハイブリッド式は特に効率よく室内の湿度を調整することができます。
加湿器への次亜塩素酸水の利用は安全?
哺乳瓶の消毒などで用いられる次亜塩素酸水は、加湿器用にも市販されており、その空間除菌効果が注目されています。
ただし、加湿器に指定されていない製品を使用した場合にはトラブルが発生する恐れがあります。また、加熱するタイプの加湿器にはいかなる次亜塩素酸水も適していないので気をつけてください。
使い始めた際に塩素特有のにおいがすることもあるため、それが気になる時は部屋を換気する、加湿器の運転を止める、または人のいない時に利用するなど、対策が必要になってきます。
次亜塩素酸水の加湿器への利用はタンク内部を衛生的に保つ効果を期待できます。とはいえ、タンクの手入れを怠ると健康に害を及ぼすことがあるため、定期的に水を替えたりタンクをきれいにしたりすることは必ず行ってくださいね。
さらに、「次亜塩素酸ナトリウム」は名称が似ていますが、これを間違えて使用すると人体や金属にダメージを与える可能性があります。
加湿器で次亜塩素酸水を利用したい場合は、取扱説明書をよく読んでから正しい使い方を心がけることが大切です。
加湿器における白い粉について まとめ
水道水中に存在するカルキが、白い粉の主な成分となっていることをお伝えしました。
水道水には、消毒のためにカルキが必ず入っています。自宅で取り除く方法もありますが、それよりも、カルキの放出が少ないスチーム式や気化式の加湿器の使用が望ましいでしょう。
様々な加湿器が市場に出ているので、求める機能に合ったものを見つけてください。精密機器のそばを避けるなど、置き場所にも気を付けてくださいね。
とはいえ、最も大切なのは定期的なお手入れなので、簡単にできるクリーニング方法も説明しました。
カルキが付着した加湿器には、クエン酸や重曹を溶かした水を入れておくことで効果的にクリーニングができます。頑固な汚れの場合は、重曹を使ってブラシでこすり落としてみてください。
加湿器は、風邪予防や肌・髪の乾燥対策、さらには静電気の低減に役立ちます。正しく使って、乾燥した冬を快適に過ごしたいですね。