灯油をこぼしたら気化して引火する?
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灯油を扱う際、万が一、タンクから溢れ出たり、床に漏れたりしたことはありませんか?そんな時、どのように対応していますか?

灯油は燃えやすい液体なので、うっかりこぼしてしまったりすると、どうにかして早急に対処しなければと焦りがちです。
漏れた灯油が蒸発(気化)して、もしも着火してしまったら大変…と心配する方も少なくないでしょう。

灯油は気化しやすい性質を持っていますが、気化したからといって自然に火がつくことはありません。

重要なのは、火を近づけないこと。あとはしっかりと拭き取れば、火災の可能性は大幅に減少します。

灯油をこぼしてしまった際には、まずは冷静になることが肝心です。落ち着いて、かつ迅速に処理することが大切です。

ただ、大量に灯油をこぼしてしまった場合や、ストーブ自体に灯油がかかったりした場合は、より慎重な対応が求められます。

そこで、今回は灯油がこぼれたときにおこる気化のメカニズムや、それに伴う火災のリスクについてお伝えします。

また、こぼれた灯油の適切な処理方法について、掃除の仕方や臭い対策などをご紹介していますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

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灯油をこぼしたら気化して火事になる?

石油ストーブに燃料を給油する

たしかに、こぼれた灯油は気化します。そのとき独特な匂いがするのは、灯油の気化が起こっていることを示しています。

それは危険だ、気化した灯油に引火したら火災になるのではないか!?と不安になってしまいますが、そこまで心配する必要はないです。

液体が蒸発しても、すぐに炎が上がるわけではありません。ここで重要なのが引火点という概念です。これについて詳しく説明していきましょう。

「引火」と「引火点」について

まず、「引火」の意味について掘り下げてみましょう。

一般的には、油やアルコールなどの可燃性の液体に、火の気が触れると炎が上がる、というイメージがありますね。

でも、実際には火がついて燃え始めるためには特定の条件が必要なのです。

油やアルコールなどが気化しても、その蒸気が一定の濃度にならないと、マッチやライターのような火源を近づけても燃えることはありません。

そのうえ、物質が燃焼するためには酸素が不可欠。
可燃性の蒸気と酸素が、特定の濃度比で存在する時に初めて燃焼が起こるんですね。

このように、灯油が気化したからといって、そこで自然に発火するということはないのです。


次に「引火点」について説明しますね。

灯油のような可燃性の液体に加熱すると、蒸発(気化)が進みます。そのときの温度が高くなるほど蒸気の濃度は高まります。

そして、その蒸気が燃焼に必要な量に達するときの温度を「引火点」と呼びます。

灯油でいえば、引火点は40℃とされています。
このことは、ストーブで灯油を使用するような冬の気温では、灯油が引火しにくいことを意味しています。

対照的に、灯油と同じように石油製品であるガソリンになると、引火点は-40℃なんです。

これは、ガソリンが常温でも引火点を超えているため、火の気があればすぐに引火するということを意味します。

ガソリンに厳重な取り扱いが必要である理由にはこのような背景があるんです。
灯油とガソリン、絶対に間違えてはいけないんですね。

灯油をこぼしたときの火災リスクと対策

玄関の灯油ポリタンク

これまでの説明から、灯油はガソリンと比較して引火しにくく、扱いやすい燃料であることが理解できたと思います。

とはいえ、もちろん灯油は危険物ですから取り扱いには要注意です。

石油を使用する暖房器具、例えばストーブやファンヒーターが火災の引き金となるケースはしばしば報告されています。

これらの事故の中には、灯油の不適切な管理や使い方が原因で起きるものも含まれています。

灯油をこぼすことによる火災の危険性は、こぼれた場所や周囲の状況によって大きく変わります。
それでは、灯油がこぼれた状況を想定して、それぞれの火災のリスクと、適切な対処方法について説明していきますね。

暖房器具本体に灯油がかかった場合

石油ストーブに給油している男性

灯油がこぼれて火災に至るケースの多くは、石油ストーブやファンヒーターなどの暖房器具本体に灯油がかかったときです。

例えば、もっとも危険なのは、

・タンクの蓋を完全に閉め忘れたり、締めたつもりが斜めに浮いた状態
・灯油をストーブやヒーターにこぼし、拭き取りが不完全な状態
・再び点火したら、ストーブの炎が灯油に引火



という事態です。

このような状況で、こぼれた灯油が少量であれば、タオルや新聞紙を使って丁寧に拭き取り、十分に乾燥させてください。

もし灯油が多量にこぼれた場合は、まずは拭ける範囲をタオルや新聞紙で入念に拭き取ります。
その後、ストーブやヒーターの本体を傾けて、内部からしみ出してくる灯油を確認し、しっかりと拭き取りましょう。

風通しの良い場所に置いておき、灯油の臭いがほとんど感じられなくなれば、安全に使用できるようになっていると考えられます。

しっかり拭こうとして、自己判断で機器を分解するのは危険です。
不安な場合は、メーカーのカスタマーサポートに問い合わせてアドバイスを求めてください。

布製品に灯油がついた場合

ストーブの前で編み物をする女性と猫

灯油が布製品に染みてしまうことがあります。
絨毯やカーペットにこぼれたり、カーテンに飛んだり、衣服に付いた場合ですね。

そのような繊維製品に灯油が浸透すると、空気との接触面が増え、それにより引火の危険性が高まります。

火気、例えばタバコやライター等の火源があれば落ち着いて火を消して遠ざけ、換気を行うために窓を開けてください。

布製品に付着した灯油は、タオルやキッチンペーパーで軽くたたくようにして吸収させます。

強くこするようなことは避けてください。色移りや色落ちの原因になります。

タオルの新しい部分を出しながら2~3回吸収作業を行ったら、中性洗剤を薄めた液を浸したタオルで灯油をさらに拭き取ります。

その後、温水に浸したタオルを固く絞り、最終的に拭き取ると良いでしょう。

風通しの良い場所で乾かせば、だんだん臭いもとれていきます。

洗濯可能な衣類やカーテンに灯油が付着した場合は、ある程度拭き取って乾燥させてから洗濯機にかけることをお勧めします。

フローリングに灯油がついた場合

フローリングに灯油をこぼした場合、速やかに拭き取ることが重要です。
床の素材や目地に灯油が浸透すると変色の恐れがあるためです。

拭き取る際にはタオルなどを使用し、叩くようにして灯油を吸収させます。擦ることは避けてください。

さらに中性洗剤を薄めた液を浸したタオルで拭いたあと、最終的には温水に浸したタオルを固く絞り、拭き上げると良いでしょう。

ワックスが剥がれた場合は、必要に応じて塗り直してください。

玄関やコンクリートのたたきに灯油がついた場合

玄関のポリタンク

玄関の床などに灯油をこぼした場合は、小麦粉や重曹を使用して灯油を吸収させる方法が効果的です。

まず、灯油がこぼれた箇所に小麦粉や重曹をまんべんなく振りかけます。その後、ほうきで掃いてから水で洗い流します。

ここで注意しなければならないのは、灯油を直接水で流してはいけないという点です。灯油が下水道内で引火するリスクや土壌汚染の原因となるためです。

灯油がしみたタオル・新聞紙の廃棄方法

灯油を拭いた後のタオルや新聞紙は、量が少なければ一般の可燃ゴミとして処分できます。
ただし、自治体のルールによって異なる場合があるため、事前にチェックが必要です。

廃棄する際のコツとしては、まず水で湿らせた布でこれらを包み、その後袋に入れて捨てることです。

これは、ゴミ収集時に温度が上昇する可能性があり、万一自然発火するリスクを避けるためです。

そうしない場合は、風通しの良い場所でこれらを干し、乾燥させて臭いも消えたあとなら安全に捨てることができますよ。

灯油こぼれたことによる臭いの取り方

ストーブの前でくつろぐ猫

灯油を床やカーペットにこぼしてしまったとき、一般的な消臭スプレーを使おうかなと思うかもしれません。
でも、実はこれらのスプレーは灯油の臭いにはあまり効果的ではありません。

灯油の臭いを減らすためには、窓を開けて風通しの良い場所で乾燥させるのが効果的です。
十分な換気と乾燥を心掛けていれば、灯油は時間とともに自然に蒸発していき、臭いも消えます。

灯油の臭いに効く自然素材

灯油の臭いが気になる場合、お茶の出がらしやコーヒーの粉、果物の皮などを使う方法があります。これらは自然な消臭効果を持っています。

例えば、お茶っ葉やコーヒーの粉をこぼれた場所にまくと、半日ほどで臭いが吸収されます。みかんやレモンの皮なら、汁を絞ってかけたりその場に置いておきます。

その後は掃除機で吸い取ったり、水拭きをして乾燥させれば完了です。

キッチン洗剤やボディーソープの利用

台所用洗剤

灯油がこぼれた部分に台所用の中性洗剤やボディソープを使用するのも良い方法です

これらの洗剤には、水と油のような混ざり合わない要素を結合させて汚れを落とす界面活性剤が含まれています。

最後に水で拭き、しっかり乾燥させることで、汚れや気になる臭いを同時に除去することができます。

灯油の臭いが手に残った場合

灯油を扱ったりこぼれた灯油の掃除をした後、手に残る臭いの対処法としては、サラダ油や小麦粉が有効です。

サラダ油を手になじませた後、石鹸で洗い流すと、灯油が浮いて落ちやすくなります。また、小麦粉を手にこすりつけた後、油分を吸い取った小麦粉ごと石鹸で洗い流す方法も効果的です。

洗濯機で洗えるものの対処法

灯油が付着したカーテンやクッションなどの布製品は、洗濯機で洗えるかどうか確認し、洗濯することをお勧めします。

洗濯後は風通しの良いところで陰干ししましょう。きれいになって臭いも消えますよ。

灯油がこぼれた時はどうする?まとめ

灯油をこぼした際は火災の危険を感じて焦るかもしれませんが、灯油は気化してもすぐに火の気がなければそれほど心配はいりません。
まずは落ち着きを保ち、消火の確認と換気を行いましょう。

灯油は蒸発しやすい性質を持っているため、乾燥すれば残るものはありません。臭いも時間が経つにつれて気にならなくなります。

臭いが残る場合は乾燥が不十分である可能性があるため、その間は換気を良くし、火気の管理に注意してください。

中性洗剤などを使って拭き取ったり、洗えるものは洗えば臭いが消えるのも早いです。
今回ご紹介した対策を覚えておき、万が一灯油をこぼしてしまった際には冷静に対応してくださいね。

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